- その一 -






図案と白生地選び

着物の図案は昔から使われている季節やお祝い事などを象徴する伝統的なものに限らず、お客様のご希望のモチーフをデザインすることもできます。着物は帯との相性も考えなければなりませんから、お手持ちの帯に合ったもの、そしてせっかくこの世にひとつのものを染め上げるのですから、お客様の個性が引き立つ色や柄ををお薦め致します。図案が決まりましたら、白生地を選びます。白生地は仮縫いの前に、付着した糊や不純物を取り除く湯通し、そして布目を整える湯のしという処理をしておきます。


仮縫いと下絵 

白生地が決まったら寸法を決めます。なで肩、いかり肩、豊かな胸…洋服とは違い着物はおおまかなようで実は着る人の体型を素直に映し出してしまいます。着る方の体型にあうようにお客様の寸法で仮縫いをし、原寸大に描いた図案は、硝子板の上に置いて下から灯りで透かし、白生地に写していきます。これには、古く江戸時代からの技法で、青花(露草の花の絞り汁をわしに湿らせたもの)を使います。この露草の汁は水洗いできれいに消えてしまうという大変都合の良い材料です。先人の知恵です。下絵を写し終わりましたら、試着をしていただき、必要あれば修正をします。微妙に図案や模様の位置を変えたり、地色のぼかしの見当をつけるなど、着る方の短所を補い、仕上がりの着姿がより美しくなるよう、細部を確認致します。胸模様の位置、裾模様の高さ、そして後模様の位置等も見落とせないポイントです。また、お客様も、この試着の段階でうっすらと着物全体のイメージを想像していただくことができます。